アニメ関連メディア情報20

海外における放映事情３〜フランス“文化侵略事件”２

法律で日本のアニメを規制

まず日本製アニメの躍進著しかったフランスで火の手が上がった。日本製アニメ批判の常套句「内容が暴力的、性的で子どもに悪影響を及ぼす」という言説が高まり、1983年には当時ミッテラン政権で文化大臣を務めたジャック・ラングが遂に「日本アニメは文化侵略である」と公式に遺憾の意を示した。

しかし、当然のことであるがそんなことは子どもに対し何の説得力も持たない。日本のアニメの人気は一向に衰えず、1987年にはＴＦ１という民放子ども番組「CLUB DOROTHEE」の枠内で放映された『聖闘士星矢』と『ドラゴンボール』が67％という驚異的な視聴率を記録する。

すると、フランス政府はとうとう「青少年向け視聴覚規正法」という法律をつくり、自国のアニメ産業保護のため海外製作番組の放映比率を規制してしまったのだ。これは明らかに日本のアニメ排除が狙いである。フランス政府は戦前からハリウッド映画を「文化侵略」と見なして保護政策を取った経緯がある。今回も日本のアニメから自国のアニメ文化・産業を守るための保護策として行ったもので、裏を返せばハリウッド映画と同等の脅威となっていたということなのである。

さらに1991年、のちに雇用・連帯省付家族・児童担当大臣に就任する社会党議員セゴーレーヌ・ロワイヤル女史が日本のアニメを批判する本を出版し追い打ちをかける。度重なる受難の中で日本のアニメは1990年代中盤以降はほとんど放映されなくなった。これ以降日本製アニメはポケモンが出現するまで冬の時代を迎えるのである。