ソニー・ピクチャーズ、3Dアニメから「撤収」①〜ソニーの3Dアニメ参入
先月末、アメリカのソニー・ピクチャーズ・エンタティンメントは傘下にある2つの3DCGアニメ会社の株式売却を検討しているとの考えを明らかにした。ひとつは『オープン・シーズン』(2006年公開)、『サーフズ・アップ』(年末公開予定)の3Dアニメ製作会社「ソニー・ピクチャーズ・アニメーション」(以下SPAとする)、もうひとつが『スパイダーマン』などの実写作品のCGを制作してきた「ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス」(以下SPIとする)である。両社の関係はSPAがプロデュースの方の「製作会社」、SPIが実際のアニメをつくる「制作会社」である。
SPAは、1990年代中盤以降のピクサーとドリームワークスによる3Dアニメの快進撃に影響を受け2002年につくられた製作会社である。一方SPIは、『スパイダーマン』など自社作品だけではなく、『ハリー・ポッター』『マトリックス・リコーデッド』などの外部作品も手がけ高い評価を受けている。10年以上のキャリアを持つSPIの方はともかく、SPAの方は世に出た作品としては『オープン・シーズン』だけで、二作目が年末に向けて日本で公開されるという時期に、株式売却の発表はいかにも早すぎるのではないかという感じを受ける。
しかし、実際SPAが製作した作品のアメリカでの興行事情を見るとその決断もうなずけるものがある。2006年以降ソニーが北米で配給した3Dアニメは3作品。内2作が上記SPA作品で、残りはスピルバーグがつくったアンブリン・エンタティンメントの作品(スピルバーグがエグゼクティブ・プロデューサーも務めている)『モンスター・ハウス』(制作はSPI)。そして、この3作の北米での興行収入数字を見ると今回の発表は「なるほど」なのである。
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