ソニー・ピクチャーズ、3Dアニメから「撤収」⑤〜これからの3Dアニメの展開は?②
ドリームワークスの『シュレック3』は歴代興業記録3位に輝いた前作(4億4千万ドル)には届かなかったが3億ドル以上のBOX OFFICEを記録した。
ソニーの『SURF'S UP』(サーフズ・アップ)は日本で年末公開になるが、北米では夏に公開されBOX OFFICEは58,867,694ドルにとどまり、前作『オープン・シーズン』の数字を上回ることが出来なかった。
ピクサーの『RATATOUILLE』(レミーのおいしいレストラン)は前作『カーズ』(2億4千万ドル)よりは数字を落としたが2億ドルの大台を保った。
意外な健闘を見せたといってもよいのがFOXの『THE SIMPSONS MOVIE』(シンプソンズ)であった。久々の2Dアニメであったが1億8千万ドルという数字を上げてシュレック、レミーに次ぐBOX OFFICEを残したのは立派である。アメリカは日本と違ってテレビ・シリーズが劇場化されるケースは少ないが(逆は沢山ある)、1988年からすでに20年近く放映されている作品のブランドは大きかったようだ。
『BEE MOVIE』は先週末公開されたばかりのドリームワークス作品である。言葉を話すハチが主人公の3Dアニメで、ウィーク・エンドのBOX OFFICEは3,800万ドルは「まあまあ」といったところであろうか。
昨年から今年にかけての3Dアニメ市場で言えることは、やはりピクサーとドリームワークスという二大ブランドが強かったということである。他では20世紀FOXは好調の『アイス・エイジ』シリーズの最新作3で2億ドル弱(195,330,621ドル)の数字を残した。ワーナー・ブラザーズは『ハッピー・フィート』(198,000,317ドル)で健闘した。
昨年の大乱戦を抜け自ずから勝ち組と負け組が生まれ、その結果は落ち着くところに落ち着きそうな気配である。来年以降もピクサーとドリームワークスを中心に3Dアニメ市場が展開されるであろうが、勝ち組に残った20世紀FOX以外の会社でも新たな作品の公開が予定されている。また今まで蚊帳の外にいたユニバーサルも来年はこの市場に参入するようである。
トイ・ストーリーから12年、すでに3Dアニメが持っていた新規性は薄れている。その意味で今後はどのように3Dアニメを見せて行くのかということが大きな課題となってくるであろう。アメリカでは日本のように3Dアニメで人間を表現しようとする趣味はないので、主人公は動物やらモンスター、あるいは車などのメカ(トイ・ストーリー、カーズ)ばかりになった。だからどこかで見たようなキャラや設定では観客は振り向かない。
ちなみに、2008年のドリームワークスの新作は、北京オリンピックに合わせたと思われる『カンフー・パンダ』(夏公開)である。あざといとは思うが企画性はやはり高い。一方。ピクサーは『WALL・E』(年末公開)というロボットが主人公である。こちらの企画意図はまだわからないが、まあ2010年には『トイ・ストーリー3』が控えているので余裕であろう。
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