イエス小池『漫画家アシスタント物語』(マガジン・マガジン刊1,300円税込)
覚悟が必要な職業
アシスタント歴30年以上の筆者が述べるマンガ家志望者に対する「血の教訓」である。
『誰かのアシスタントになる時は、将来の選択肢が以下の3つにだけになる事を銘記せよ。』
一つ、絶対漫画家になる
一つ、死ぬまでアシスタントを貫徹する。
一つ、アシスタントを辞めて路頭に迷う。
以上であるが、筆者は最終的に「死ぬまでアシスタントを貫徹する」道を選択したようだ。そのため、決して恵まれたとはいえない経済状況の中にあるが、筆者は「不思議と後悔の念といったものがほとんどありません」と述べている。好きな道を歩み続けて来られたということもあるが、ひとつには覚悟の問題もあるのではないかと思う。
誰が見ても明らかな才能というのはそれほどあるものではない上に漫画家として成功する、しないは自分で決められることではない。それはクリエイティブ職が持つ宿命でもあろう。したがって、もしこの種の職業を目指す場合には、売れなかった場合でもそれでよしとする覚悟が必要である。例え評価に恵まれなくても自分の好きなことをやっているということでよしとすべきなのではないだろうか。自分の幸不幸は自分で決める覚悟がなければクリエイティブに関わる職業を全うするのは難しい。
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