『アニメはいかに夢を見るか』押井守編・著(岩波書店1,600円税別)
『スカイクロラ』関連本その3〜岩波書店のアニメ本
『スカイクロラ』関連本の最後は押井守編・著になる『アニメはいかに夢を見るか』である。この本は岩波書店から出ているが、宮崎監督の『折り返し点1997〜2008』や鈴木プロデューサーの『仕事道楽』も岩波書店である。さらに言えば以前紹介した本にも岩波書店ものが幾つかある。
さらに言えば以前紹介した山村浩二『アニメーションの世界へようこそ』、鈴木伸一『アニメが世界をつなぐ』も岩波書店から出ている。私たちの世代からすればあの岩波がアニメの本を出すようになったのかと思うと感慨深いものがある。しかも、手に取るまで岩波書店とは思えぬポップな装幀・デザインである。
結論から言うとこの本が今回の押井本で一番面白かった。既に幻冬舎の本を二冊も読んでいたせいでよく内容が把握できたが、興味深かったのはプロデューサーである石井明彦氏の「『スカイクロラ』はこうして制作された」という文章である。制作サイドの事情がよくわかった。100ページ以上もあるが少しも飽きない。
そして何よりも面白かったのはキャラクターデザイナー・作画監督を務めた西尾鉄也氏のマンガである。「空を這いずる者たち」という1ページたらずの作品であるが、これが飛び飛びの連作となっており合計16ページほどあるが、画の力もあって『スカイクロラ』の雄弁なメイキングとなっている。人生論を語りまくった押井監督の意外なというか真の一面?が描かれており、思わず笑ってしまう楽しさがある。
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