手塚治虫の天賦の才を支えた資質①〈向上心〉その4
マンガ界に引き継がれたDNA
手塚は“成熟”を拒否した永遠の挑戦者であった。常に自分の身を競争の真ん中にさらす勇気と精神力。手塚の直弟子達は巨匠が身も蓋もなくのたうち回り、苦悶しながら、そしてそこから何度も脱皮して成長していく姿を間近で見ており、このイノベーションに対する姿勢(猛烈な仕事ぶり)は確実に現在のマンガ家たちに引き継がれている(同様に自ら虫プロを中心とするアニメ界に引き継がれている)。
それは石ノ森章太郎も藤子・F・不二雄の仕事ぶりを見ても伺える。彼らは一時も歩みを留めることなく限界まで描き続け、若くして帰天していった。この仕事に対する猛烈な姿勢、常にイノベーションに取り組む姿勢がマンガ界のDNAとなっているのは間違いなく、日本のマンガ界が戦後ずっと活況を呈しているのはある意味手塚のおかげであろう。もちろん、それはアニメの国際競争力の源ともなっている。
マンガ、アニメの二つの産業には間違いなく手塚の遺伝子が脈打っているのである。
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