Vol.58〜第一部手塚治虫とマンガ〜第二章手塚治虫成功の秘密
手塚治虫を育てた環境④家庭環境〜父親手塚粲(ゆたか)その3
名門住友に入社
大正10年(1921年)、大学を出た粲は大阪の名門住友財閥系の住友倉庫に入社する。父が地元関西大学の設立に加わった名士でもあり、おそらく就職も順調に決まったものと思われる。法曹界へ進まずホワイトカラーの道を選んだ粲であるが、実はその当時の大卒一流企業サラリーマンは裁判官、弁護士以上より恵まれた生活を送っていたのである。
当時の大卒サラリーマンは現在と問題にならないくらい非常に貴重な存在で、財閥系の大企業に勤める部課長クラスになれば大臣クラス以上の年俸になるほどの経済的ステイタスがあった。おそらく、父親の太郎も当然その辺の事情は理解してのことであったろう。
コメント