製作費回収のビジネスモデルと問題点
さて、次に肝心の回収におけるビジネスモデルであるが中国では一体どうなっているのであろうか。実際の事業者を含め聞くところによるとこれが大変心許ない状況にあるらしい。中国の新聞によると85%の作品は資金を回収出来ていないとあったそうだが実際にはもっと低いのではないか。なぜなら、回収方法を聞く限り余程大当たりしない限り回収は難しいと思わざるを得ないからである。
聞いた限りの中国における主な収益手段を上げてみると、
1.国内放送局の放映権料
2.MD、特に出版(本)
3.上映
が中心のようである。日本では重きを占めるDVD販売は承知の通り海賊版のためマネタイズできる構造になっておらず、海外販売は作品力がないため望めない状態である。
その他にも、日本でも収益ポートフォリオとしては小さいが配信、音楽商品・出版といった収益手段も中国では封じられている状況である。ということで、一番確実な収益源と思われる1の放送権収入が頼みの綱ということになるのであるが、実はこれは先ほども述べたように非常に低いのである。
先ほど全国で一番高い中国中央テレビ(CCTV)であっても1分間で6,000元(9,000円)と述べたが、これが地方のテレビ局となると1分間8元(120円)から10元(150円)の放映権料のところもあるという。
これでは24分として3,000〜4,000円。泣くに泣けない値段である。主力収益源がこれでは幾ら何でも回収は厳しいのではないだろうか。もちろん②のMDという手段もあるが比較的流通がしっかりしている出版はともかくとして余程の大ヒットでなければ収益につながらない。
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