『ル・オタク フランスおたく物語』
清水信一(09年1月/講談社文庫/税別476円)
ヨーロッパにおけるアニメの受容がわかる本
この本はためになった。元々は1998年に単行本で出版された本なので情報的には古いが、著者が実際にフランスとのビジネスに携わっていたこともあり、日本のマンガやアニメがヨーロッパでどのように受容されたかについて説得力を持って語られている。 特に1970年代中盤以降、日本のアニメがどのようにフランスで受け入れられたかなどについての解説は非常に参考になる。『ゴルドラック(グレンダイザー)』や『聖闘士星矢』の人気が実際どれほどのものだったのか、またそれによってフランスでどのような反作用を起こしたかなどについても詳しい。 数字的なデータも多い。実際ビジネスをやっていたこともあるからだろうが、表だけではなく裏の数字にも触れられている。日本マンガやアニメが海外で被っている不利益(数字のごまかし)などの裏事情もよく知っているようだ。読んで決して損はない。 この種の本は余り解説しても意味がない。値段も手頃だしとにかく一読してみてみることだ(著者のこの種の本はこれだけのようである。他は「軍事」関係を本を書いているが、やはりアニメと武器は親和性が高いのであろうか)。
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