『小説手塚治虫2 〜ソロバン片手の理想家〜』
皆河有伽(09年7月/講談社/税別980円)
アトム、アメリカ進出の経緯
一巻目があるということは当然二巻目があるということで、本書はフジテレビでアトムがスタートしてからの話となる。ここからは、つとに知られた虫プロ狂想曲のエピソードが中心となる。
ところで、先日さるお願いごとがあって虫プロを訪れる機会があった。ちょうど雨が降っていたのであるが、夜ということもあって住宅街の中に薄暗いぼんやると浮かび上がった虫プロは「つわものどもの夢の後」といった趣であった。
アトムのアメリカ進出はつとに知られた話であるが、その辺りの話については、当時向こうで担当していたフレッド・ラッドの『Astro Boy and Anime Come
to the Americas: An Insider's View of the Birth of a Pop Culture Phenomenon』が詳しいであろう。であろうというのは、実はこの本をまだ読んでいないからである。出ることはわかっていたのだが、その後すっかり忘れてしまっていた。このレビューを書くにあたって想い出し、いまアマゾンで買って序文を読みはじめたのでこの本の報告は多分ずいぶん先になると思う(序文を読む限り凄くシンプルな文章なのでホッとした)。
昨年7月に出版されたこの本が書かれている範囲はアトムがスタートして狂乱状態に陥ったあたりまで。また1963年である。手塚治虫生誕80周年は終わったが是非とも先を続けて欲しいところである。
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