『ボクのつぶやき自伝』
(久里洋二/新潮社/1,300円税別)
手塚治虫との関係
2月に出たばかりの新著。何だか細切れの文章だと思ったらツイッターに書いたものを出版したということだ。
ということで久里洋二さんであるが、その印象は率直に言うと昔「11PM」に出ていたな、というものである。もちろん、漫画家でアニメも制作したいたことは知っているが、ご本人が言うように「大人向けアニメ」であったせいか目にしたことはほとんどなかった(漫画はしばしば目にした)。
この本で一番驚いたのは、「フィリピンにあるアメリカの会社が勝手に作ったCM」のことであるが、それが何と無許可のアトムが出ていたのだそうだ。もちろん、アトムの番組がオンエアーされる前である。
フィリピンって、ひょっとしてディズニー関係?などとの邪推も働くが、久里氏も書いているように、この「アメリカ製の盗作」で手塚治虫がアトムのアニメ化を決心したであろうということは想像に難くない。
何とも貴重な証言である。久里氏は手塚治虫と同じ昭和3年生まれ(尤もそれを知ったのは手塚の死後ということであるが)であるが、こういった歴史を知っている方々の更なる発言に期待したい。
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