清水勲『年表 日本漫画史』
(07年/臨川書店/2,200円税別)
これ一冊で日本の漫画史がわかる
世界中どこでもマンガとアニメは深い関係があるが、特に日本ではそれが顕著である。多様な日本のアニメは豊富なマンガ原作がその質量を裏付けているのである。
本著はこれまで80冊余りの著書がある漫画研究家の清水氏の集大成ともいえる本。この一冊があれば鳥獣戯画からはじまる日本の漫画史は網羅できるであろう。
本書は京都にある古典や専門書を特異とする臨川(りんせん)書店から発刊された「ビジュアル文化シリーズ」の一冊である。そう聞くと何やら難しい漢字がするが全然そんなことはない。
その訳は非常に明快なレイアウトにある。右側ページにテーマが書かれており、左側がそれに対応する年表となっている。テーマが次のページに繰り越さない見開き完結スタイルなのでコラムを読む感じでテンポよく読み進めることが出来る。
漫画関連書籍や漫画賞受賞者一覧などの資料も豊富である。また漫画家の生年も書いてあり私の生まれた年(昭和29年)を見たら大友克洋しかいなかった。昭和35年生まれは荒木飛呂彦、岩明均、浦沢尚樹、岡野玲子、山本直樹など8名もいる。秋本治しかいない昭和27年と並んで漫画家不作の年のようである。
日本の漫画・マンガ史資料の決定版であり手許に置いて損はない一冊である。
余談だが同じ「ビジュアル文化シリーズ」として出た『差別と向き合うマンガたち』が手に入らない。アマゾンで見るとどうも在庫切れのようである。もしそうならこの種の出版としては異例の売れ行きである(失礼)。あるいは何かタブーにでも触れてしまったのであろうか。憶測を呼ぶところである。
*漫画とマンガの違い。人によって異なるが手塚治虫以前を漫画、以降をマンガとする場合が多い。
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