『河童のクゥと夏休み』〜子どもに安心して見せられる作品の大切さ
これまた遅ればせながら『河童のクゥと夏休み』を観てきた。場所は渋谷アミューズCQN。渋谷東映先、明治通り沿いにある。夏休みの平日13時からの上映ということもあり子ども連れが目立った。といっても私が劇場に入った時にはすでに予告編が上映されていたので本編上映時に巻き起こった子どもの笑い声でその事実がわかった次第である。
『ドラえもん』や『ポケット・モンスター』などのテレビ作品とはまた違った意味で子どもの情操に訴えかける作品に対するニーズは高い。高畑、宮崎作品でなかった『猫の恩返し』の興収は64.6億円であった。ジブリ作品とはいえこの数字は子どもに少しでもいい作品を見せたいという親の願いが込められた結果であろう。『河童のクゥと夏休み』は十分その期待に応える作品であった(冒頭のシーンに論議はあるが)。インタビューで監督は観客層を意識してないと述べているが是非この責を担って欲しいと思う。
(原恵一インタビュー『アニメ!アニメ!』)
http://www.animeanime.jp/interview/kuu1.html
監督の原恵一はクレヨンしんちゃんを手がけ『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』で絶賛を浴びた。『模倣される日本』(祥伝社新書)などで日本のコンテンツの優秀性を世界に訴えている浜野保木樹東大大学院助教授は『アニメーション監督原恵一』(晶文社)で原恵一を木下恵介、小津安二郎の系譜を引く日本映画の継承者であるとしている。この本を読むと原恵一という人間に興味が湧く。
『河童のクゥと夏休み』は現在全国101館で上映中である。大々的な規模のロードショーではないが作品のトーンを考えると結構な規模である。クレヨンしんちゃんの監督、ドラえもんのシンエイ動画という看板とシネコン向きというのがその要因であろう。予算規模はわからないが相応の制作費はかかっているものと思われる。次回作の期待を込めて是非興行的に成功して欲しいものである。
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