アメリカに見る放送基準〜プライムタイム・アクセス・ルール
1970年にフィンシン・ルールと並んでアメリカのFCC(連邦通信委員会)が制定したのが「プライムタイム・アクセス・ルール」。プライムタイムにおける三大ネットワークの独占的影響力を抑制し、独立番組制作事業者の育成やテレビ番組供給源の多様性確保を目的として導入されたものである。
この「プライムタイム・アクセス・ルール」は全米上位50市場における三大ネットワークの直営局及び加盟局に対して、プライムタイム(ゴールデンタイム)4時間(東部及び太平洋時間帯:19時〜23時、中部及び山間部時間帯:18時〜22時)のうち、最初の1時間はネットワーク番組及びオフ・ネットワーク番組以外の放送を行うことを義務づけた規則である。つまりプライムタイムでネットワーク番組が放送できるのは3時間とういうことだ。
しかしそのネットワーク番組枠にもネットワーク製作とプロダクション製作のものがあり、ネットワークが製作できるのは週22時間(土曜のプライムタイムは4時間)のうちわずか3時間であった。つまり一週間で3時間しか自前の番組を製作できないのである。日本の現状から考えると信じられないような厳しさである。
この「プライムタイム・アクセス・ルール」や「フィンシン・ルール」は自由競争を阻む「独占」に対して敏感であるアメリカならではの規制であろう。もし日本で本当にコンテンツ製作の事業者を育てようと思えばこのような観点も必要ではないかと思う。
尚この、「フィンシン・ルール」「シンジケーション・ルール」は三大ネットワークを中心とする地上波の影響力が総体的に弱まってきたと判断されたため、その役割を終え現在では共に撤廃されている。
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