アニメの仕事6〜脚本家
山崎敬之『テレビアニメ魂』(講談社現代新書/720円税別)
著者は大塚康生の本の項で述べた藤岡豊が設立した東京ムービー(現トムス・エンタティンメント)で長年脚本を執筆してきた。『巨人の星』『アタックNO.1のテーマ』『ベルサイユのばら』『それいけアンパンマン』など数多くの話題作を手がけており、それらのエピソードだけでも文句なしに楽しい。
著者が長年に渡り所属した東京ムービー企画・文芸部には本業の脚本の他に輝かしい業績がある。それはアニメ番組主題歌の作詞である。著者は『アタックNO.1のテーマ』『新・オバケのQ太郎』の作詞を手がけたそうだが、東京ムービー企画部全体では実に多くの作詞をしている。
ダニー飯田とパラダイスキングの人気ボーカルだった石川進が唄って大ヒットした『オバケのQ太郎』、そして極めつけはあの巨人の星のテーマ曲『ゆけゆけ飛雄馬』。「思いこんだら」をグランド整備の「重いコンダラ」と思いこんでいた人も多い。さらに『エースをねらえ!』『天才バカボン』『ど根性ガエル』など、全部で70曲ほどの作詞が東京ムービー企画部によるものである。
山崎氏が語る『天才バカボン』も『ルパン三世』などの再放送のエピソードについては考えさせられる点が多い。瞭番組共に初回放映時の視聴率が悪く再放映で浮上した作品である。『宇宙戦艦ヤマト』もそうであった。かつては地上波(民放キー局)にも再放映枠がありそこから再燃した作品も多いが、現在ではBSと地上波併せて5つのウィンドウを持つNHK以外、ほとんど枠もなく敗者復活は難しい。
余りに多くのアニメが製作されている状況ではそれも致し方ないのであろうが、CS放送やDVDで見る前にもう一度再評価の機会が与えられるとよいのだが。
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