1953年公開映画、パブリック・ドメイン確定したが・・・
アニメ関連メディア情報8でも触れたことであるが、古い映画の格安DVD販売を巡る問題に決着がついた。結論から言うと1953年に公開された作品のパブリック・ドメインが確定したのである。
12月18日、1953年公開の『シェーン』の格安DVDに対して起こされていた訴訟について最高裁の判決が下った。保護期間を50年から70年に変更する際に、1953年作品も対象となるように文化庁は申し送りをしたつもりだったらしいが、最高裁はそのように判断しなかった。日経新聞に「文化庁のミス」と書いたがその通りであろう。
しかし、一方、9月に下された別案件の格安DVD地裁判決では、チャップリンや黒澤明が監督した1953年以前の作品にも著作権の存続が認められた。これは、監督の死後38年(旧著作権の規定。1970年以前の作品にはこれが適用される)を経過しなければ、著作権が存続するという判断によるものである。チャップリンは1977年、黒澤明は1998年に亡くなっているから、全ての作品の著作権が存続していることになる。
この二つの裁判の差はどこから来るものであろう?それ、どうやら監督の位置に対する認識の差から生じているようで、日本の映画会社は監督の著作権を認めているが、パラマウントはNOという見解である。著作権法的に見れば監督は著作者ではあるが「著作権者」ではない。裁判所は今後どのような見解を以て臨むのであろうか。
監督と映画会社に契約でもあれば別の話であるが、このように監督の地位認定に対し、なぜ司法判断の差が生まれるのか不思議なところである。1953年以前のアニメ作品も、この判断の差によって全く違った権利状態となる。いずれにせよ最終的な決着は現在高等裁判所にステージを移した(DVD販売事業者が控訴)チャップリンや黒澤明作品裁判の最終的な判決を待たなければならないであろう。
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