問題作『ベオウルフ』①〜見所満載の「アニメ」
『ベオウルフ』は制作手法、上映方法を含め大変な問題作であり、アニメという観点から見ても見所満載である。現時点でこの作品のビジネス的意義を語り尽くすのは非常に難しい。まとまりに欠けるのを承知で作品について述べてみたい。
まず、これをアニメ呼べるかどうかという根本的な問題がある。出来上がった映像そのものは3DCGアニメであるが、もとになるキャラクターや動きなどは「パフォーマンス・キャプチャー」という手法で実際の役者からキャプチャーしているのである。これは『ポーラエキスプレス』でつかわれていた手法であるが、要は高度に進化したモーション・キャプチャーのシステムである。
精度、というかリアル感は『ポーラエキスプレス』より格段に上がっている。意識しないで見ていると実写と思う人間もいるであろう。しかしである。何というか薄皮一枚感は否めないのである。どこか違っているのだ。常に違和感がつきまとうモーション・キャプチャー・タイプの3Dアニメキャラクターに比べ格段に完成度は違うが、それでも何かの拍子に白ける瞬間がある。。
また「パフォーマンス・キャプチャー」と並んで大きなセールス・ポイントは3-D立体映像である。3DCGアニメと紛らわしいので3-D立体映像とするが、その通り飛び出す映像である。昔ディズニーランドで上映していたマイケル・ジャクソンの『キャプテンEO』だと思えばいい。
この3-D立体映像はダイレクトに感覚へ訴えてくる作用がある。無気味なクリエーチャーなどが生理的にダメな人間や高所恐怖症の人間にはお勧めできないが、ともかく迫力は凄い。3-D立体映像を見られる劇場は限られているが、ワーナー・マイカル系を中心に結構あるので、もし行くなら是非そちらで「体感」して欲しいものである。
さて、感想はともかくとして、なぜこのような見所満載の映像づくりになったかについて考えてみたい。
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