アニメ右肩上がりの要因4〜収益構造の多様化による牽引効果
収益構造の多様化②〜商品化という収入源
配給事業者との交渉で気息奄々としていたディズニーであるが、会社が余裕を持てるようになったのは希代のキャラクター、ミッキーマウスが登場してからであった。ミッキーマウスのアニメはどの劇場でも引っ張りだこで、フィルムのレンタル収入自体も多かったが、ミッキーマウスやミニーのキャラクターをあしらった人形や時計などの商品から得られたロイヤリティ収入は、それを大きく上回った。商品化権ビジネスによって、ようやくディズニーは経済的に一息つけるようになるのである。
アニメのキャラクターの商品化が大きく発展したのは、ミッキーマウスの前に世界的にヒットした『フェリックス』の時からである。パット・サリバンとオットー・メスマーが製作し、1920年代に一斉を風靡したこのアニメキャラクターは、アメリカ国内のみならず海外でも人気を博し、世界中でフェリックスの玩具やハンカチーフ、陶磁器などが売れた。
1928年に誕生したミッキーマウスはまたたく間にフェリックスの人気に追いついた。全米の子どもたちは競ってミッキーマウス・クラブに入会し、2年後には会員数が100万人を超えるようになっていた。大恐慌時代の真っ只中であったのにもかかわらず、ミッキーマウスの玩具や時計は飛ぶように売れた。フェリックスに端を発し、ミッキーマウスによってこの商品化権ビジネスは築かれたのであった。
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