アニメ右肩上がりの要因4〜収益構造の多様化による牽引効果
収益構造の多様化①〜映画興行だけだった収益源
アニメ右肩上がりの要因4は「収益構造の多様化による牽引効果である。
アニメーション界に「フォード」システムを導入したジョン・ランドルフ・ブレイによって産業形成がなされたアニメではあるが、その創世記における収益は映画興行に頼るのみであった。しかしながら、現在もそうであるが、映画の配給事業者というのはなかなかくせ者で、実際にフィルムを製作・制作するサイドに取って決して組みやすい相手ではなかった。
かのウォルト・ディズニーであっても配給事業者とのつき合いは悪夢の連続であった。アニメ製作をはじめたカンザス時代以来、マーガレット・ウィンクラー(途中から旦那になったチャールズ・ミンツと交替。ミンツ経由でユニバーサル配給)→パット・パワーズ経由コロンビア配給→ユナイテッド・アーティスツ→RKOと変遷し、最終的に自分たちの配給会社ヴェナビスタ設立に至る。
若くて純朴だったディズニーは、海千山千の配給事業者から見ると実に扱いやすいカントリー・ボーイであったであろう。彼らに足下を見られたディズニーは金銭的なトラブルだけではなく、配下のアニメーターをという悲惨な出来事を一度ならず体験した。そして、そのような苦い体験や、自分の作品が思い通りに配給できないことがヴェナビスタ設立へと向かわせたのであった。
映画配給でしか収益を上げられなかった初期のアニメ収益構造。しかし、現代ではハリウッド映画でさえ興行から得られる収益は35%強である。アニメの場合、キャラクターがヒットすればさらにその割合は小さくなる。ここでは、アニメの収益構造が歴史的に見てどのように多様化していったかについて見てみたい。
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