2007年を振り返る⑰〜「JAniCA日本アニメーター・演出家協会」その5
JAniCAの展望
景気のいい話は聞かない替わりに、製作・制作会社がつぶれたという話も余り聞かない(それなりの規模の会社の話。小さなスタジオでは離散集合がしばしばある)。そもそもアニメ業界は倒産が少ない。1972年の虫プロ以来、大手が倒産した事例はほとんどなく(大手資本の傘下に入った例はあるが)、多くは解散、撤退という形を取っている。
深刻な不況の波を経験したことのないアニメ業界で消えて行く会社は、代替わりがうまくいかなかったとか(オーナー企業の跡継ぎ問題)、あるいはマネージメントの欠如の問題がほとんどである。特にクリエィティブ畑がトップの場合、そのモチベーションをつくること自体に置いている場合が多いので、経営とのバランスを取るのが難しいケースがしばしば見受けられる。私の持論でもあるが、クリエイティブな会社であってもマネージメントサイドが51%以上の力を持たなければ存続は難しい。
おそらくJAniCAの登場によってアニメ制作の現場がくっきりと浮かび上がるであろう。マスコミ的な視線ではなく、まず現場の姿を正しく伝えながら改善に取り組むのではないか。
『アニメビジネスがわかる』でアニメーターの職制の本質は相撲取りと同じだと書いて一部の方々の顰蹙を買ったが、その意図するところはアニメも相撲も実力本位の職制であるということであった。ミュージシャンかマンガ家にすればもっとわかりやすかったのかも知れないが、要はアニメーターも実力次第であるということを言いたかった次第である。
もし、JAniCAが最低賃金制度や原画や動画の最低単価制度に言及するなら、一律に近い現状の成果システムの再評価が必要となるであろう。カットの難易度、実力などの評価をどのように規定するのか、そこがポイントになると思われる。
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