ネット上のファイル交換違法化の動き⑨〜私的使用の制限
著作権法改正の動向に影響力を持つ文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」では、昨年末に違法サイトを「私的使用」の範囲から外し(「YouTube」や「ニコ動」などのストリーミングサイトは含まれない)「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性を明確に打ち出している。
これに関して文化庁サイドは、この結論を受け入れて法律改正に挑む姿勢を明らかにしている。すでに、文化庁の担当室長が「パブリックコメントなどでの反対意見を踏まえた上でも、違法複製物からの複製は30条の適用除外とするのは不可避」と話しているので、罰則は未定だが違法化はほぼ決定となったと言えよう。
ITmedia http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/18/news065.html
しかし、これには当然ユーザサイドを中心とした反対意見も多い。
「ネット上に安価で、カタログがそろった状態で、(ウイルス感染などの)危険もない正規品があるなら、消費者はそれを選ぶはずだ。米国ではiTunes Storeで映画の販売が始まっており、一定の利益を上げているが、日本でままだまだその環境が整っていない。日本の権利者は、やることもやらずに、権利だけを強化してくれと言っているように見える。そこが消費者との溝を生む」(IT・音楽ジャーナリストで津田委員)
津田氏の意見の根本には、日本のレコードメーカーなどが持つメーカ主導の音楽マーケットに対する批判がある。再販制度に護られた音楽業界では、価格をはじめとして長い間売り手主導のマーケットづくりが行なわれてきた。ところが、デジタル&ネットワーク時代の到来によってコピーする際の手間やコストといったボトルネックとなる要素が消滅し、メーカー主導のコントロールが崩壊した。メーカーとしても、直ぐにデジタル&ネットワーク時代のユーザーのニーズに対応すべきであったのだろうが完全に後手に回ってしまった。
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