『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情⑳〜中国製アニメのビジネスモデル/実際には収益が上がらないアニメ製作者
前回述べたようにもし中国のアニメ製作者が日本のアニメ製作者を上回る利益を上げていれば、巌番組版権管理処科長がインタビューで答えていた1分500元(遠藤氏の著書と100元ほど差があるがほとんどそのレベルであると考えてよいであろう)の放送権料であっても別に問題はなさそうであるが、果たしてそうであろうか(インタビューで巌番組版権管理処科長が、「アニメ番組は高視聴率を挙げながら現在は広告料が不当に安い」と述べているが、なぜそうなのか是非知りたいところである)。
年間10万分を制作する中国におけるアニメの総製作費は、巌番組版権管理処科長がいうところの分単価で計算しても総額189億である。10兆円もの市場から製作者へ還元がなされているなら十分回収可能な金額である。しかし、失礼ながら実際にはどうもアニメ製作者の懐はまだそれほど潤ってないように思えて仕方ない。もちろん、『哪吒伝奇』のようなDVDが700万枚も売れて収益を上げるような作品も実際出はじめているようであるが、それはまだごく一部のようである
なぜ中国のアニメ製作者が潤ってないかと推測するのかといえば、もし市場から収益を得られているなら、日本の製作者にも相応の還元があっても然るべきであるからである。しかしながら、そういう話は一向に聞こえてこない。8兆円と推定されるキャラクター市場から例えば3,200億円がロイヤリティとして入ってくるとして、海外作品シェアを40%(海外タイトル規制値)の半分が日本製ならば640億となる。クレヨンしんちゃんのように相応の収益を上げているキャラクターも存在するが、日本の海外からの売上が年間200億円超という現実を考えると、とても中国市場から多くの収益を得られているとは考えがたい。
メディアなどでも言われていましたが、クレヨンしんちゃんの中国名「蠟筆小新(ラービィシャオシン)」の商標が双葉社とは関係ない他の企業に登録されていて問題となっています。「相応の収益」を本当に得ているのでしょうか?
投稿情報: | 2008/03/25 12:42
しんちゃんの担当者の方の話(セミナーですが)を聞いたところ収入はあるようです。また、向こうで正規に放映されているアニメに対しても相応の収入はあるとのことです。とはいえ、中国の国情にああった「相応の収益」なので、要するに「それなりの収益」ということだと思います。凄い収益なら、とっくに皆さん真剣になってると思います。
投稿情報: 増田 | 2008/03/25 23:59