『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情㉓〜中国のアニメ政策事情/中国政府の強力な自国アニメ推進政策
中国アニメ推進の原動力には中国政府の強力なバックアップがある。ゴールデンタイムでの海外アニメ規制などを含め制度的な優遇策が取られているが、どの程度のものであろうか。このあたりの情報は余りないが、ジェトロが2005年3月に発刊した調査報告書「中国コンテンツ業界に関わる行政機関・業界団体および法令調査」で基本的な中国政府の指針を知ることができる。
アニメに対する中国政府の方針を一言で言うならば、「アニメチャンネル開設及び国産アニメの放映時間増設、民営参画を奨励し、外国アニメ産業との提携強化」にある。これは、2004年2月に青少年の思想道徳教育に関する中央8号文書(「中共中央、 国務院の未成年思想道徳建設の更なる強化と改革に関する若干の意見」における国産アニメ・漫画産業の制作・放映活動を支持・奨励するという理論に基づいている(「若干の意見」といいながら国の基本方針を決めるというのは日本の「通達」のようなものであろう)。
この文書を契機に、政府はアニメ・漫画・ゲーム産業育成の強化や、サービスの整備を重視するようになった。2005年、国務院は、「非国有資本の文化産業の参入に関する若干規定」を公布し、動画・アニメ・インターネットゲームやテレビドラマの制作・発行など文化産業における非国有資本の参入を支持しているので、これ以降、急速にアニメ製作会社が増えたものと思われる。
というのも、2004年にはその他の「音像」(音楽や映像、オーディオビジュアル)分野への税金優遇の拡大も検討されはじめ、さらに2005年からは中央財政による専門基金が設けられたからだ。音楽映像分野の会社、特に創作性に富んだ作品に対する支援が実施されるようになったとある。誕生以来一度も優遇策などとは縁のなかった日本のアニメ産業界と見事なまでに対照的である。
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