第7回東京国際アニメフェア⑭〜『RD潜脳調査室』に見るプロダクションIGの今後
プロダクションIGのブースの目玉が『スカイ・クロラ』と『RD潜脳室』と書いたが、実はもうひとつ大きな作品を抱えている。それは現在フジテレビ系で放映されている『図書館戦争』。ということは、『モンスター』『デスノート』で高視聴率を誇った火曜日テレ系深夜と、『もやしもん』『墓場の鬼太郎と』などのフジテレビノイタミナという真夜中のゴールデンタイムともいえる両枠を制したということである。
しかしながら、この両作品を比べてみると、話題性からいえばおそらく『図書館戦争』の方が上であろう。原作がシリーズ70万部の小説であるからして当然ともいえるが、製作会社としてのプロダクションIGが目指すべきビジネスモデルは『RD潜脳室』の方にあると思われる。
『図書館戦争』『RD潜脳室』共に製作委員会に参加しているプロダクションIGだが、「この作品(注:RD潜脳室)は士郎正宗さんの『攻殻機動隊』の世界観の先にある未来の世界を一緒に作りたい、というところから企画が始まっております」というシリーズ構成の藤咲淳一氏(日テレの作品HP)のコメントは、この作品を攻殻に続く作品に育てたいという製作者の意志が読み取れる。
公表されているアニメ製作企業の売上でいうとプロダクションIGは5位にランクされる。そして、そこで特徴的なのは制作費が占める割合が非常に多きいということだ。実際、上位に位置する東映アニメーションより制作売上は多いのであるが、全体売上となるとその1/3以下となっている。これが何を意味するのかといえば、要するに東映アニメのような著作権売上や流通・販売による売上が少ないということなのである。この傾向はマッドハウスやディーンなど深夜アニメを主に製作・制作している企業におしなべて言える傾向である。
プロダクションIGがマックガーデンを傘下に収めたのはオリジナル原作を増やしたいという意思の表明であろう。アニメビジネスにおいて原作は非常に高い付加価値を持っている。同時に流通にも大きな付加価値があるが、IGはやはりアニメをつくる企業として原作の方に進んだのであろう。
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