ケータイアニメ配信最新動向⑤〜東映アニメのケータイ戦略
東映アニメーションが配信事業に力を入れたのは将来の売上の柱にしようという目論見があったからだと思われる。おそらく、それは東映アニメーションのみならずどこの企業でも考えていることであろうが、東映にはそれを自社運営できるコンテンツ力も資金力もあった。
東映の場合、昨年の段階で2008年3月期連結決算売上が189億で前期マイナス6%、金額にして12億円近く下がる予測となっていたことも配信事業の大きな推進力であった思われる。要するに危機感である。しかし、近々発表された最終決算予測では売上211億と上方修正され最高売上を記録した前々年度215億に次ぐ数字になりそうである。
その要因としては、国内ではTVシリーズ「Yes!プリキュア5 GoGo!」、海外ではヨーロッパ向けの「ドラゴンボール」シリーズを中心にセールスが好調に推移したこと、また、「Yes!プリキュア5」の自社開発商品を主とした商品販売事業が順調に伸びたことが指摘されている。そのため、純利以外の売上高・営業利益・経常利益については増収増益となる見込である。
上場以来順調に売上を伸ばしてきた東映アニメーションであるが、一昨年を頂点に昨年、今年と売上が低落傾向に入る気配を見せた。それが配信事業強化の後押しをしたのであろうが、この上方修正が不退転の覚悟に見えた配信事業の自社運営にどのような影響を与えるのか。
東映アニメが持つ九つのサイト中、「ドラゴンボール☆ANIMO」や「スラムダンク☆ANIMO」のように上位にランキングされているサイトの採算性は良いであろうが全体を通じて果たしてどうか。単独作品のサイトは新しいシリーズでもつくらない話数に限りがある。消費型のケータイサイトユーザーは常に新しいコンテンツを求める。
今後もまだまだ新しいサイトがつくられるであろうが、ドラゴンボールを上回るパワーを持つ作品はなかなか見当たらない。その意味で東映アニメーションが今後どのようなケータイ施策を取るのか、「ドラゴンボール☆ANIMO」がどこまで首位を維持できるかその動向が大いに注目されるところである。