岩波ジュニア新書アニメ関連本⑦〜山村浩二『アニメーションの世界へようこそ』
岩波ジュニア新書アニメ関連本の最後は『頭山』などのアニメで知られる山村浩二さんの『アニメーションの世界へようこそ』である。実はこの本、紹介した三冊の中で一番先に出版されている(2006年)。
内容はアニメの成り立ちや原理、手法についてかなり詳しく述べられている。主にアートアニメと呼ばれるジャンルの作品についての言及が多いが、アニメに関する見聞を広めるためには読んでおくべきであろう。
本文中に次のような言葉があった。
その昔、赤塚不二夫(一九三五~)の「もーれつア太郎」というテレビ・アニメーションをなんの疑問も持たずに見ていたのですが、その中のキャラクターのニャロメが印刷されたメンコを近所の駄菓子屋さんで見たときに、ふと、「どうしてこの描かれた絵がテレビで動いているの?」と思ったのです。
この本を読んでアニメーターになりたいと思う人の気持ちが少しわかったような気がしたが、ここが愛好家で終わるか、制作者となるかの分かれ道なのであろう。私も、アトムを見て「どうしてアニメって動くんだろう」という探求心が芽生えていれば、ひょっとしてアニメ制作の道を歩んでいたかも知れないが、ただストーリーを追うだけの視聴者で終わってしまった。
そういう意味で山村さんは根っからのアニメーターである。おそらく頭の中は常にどうやって動かそうかということで一杯ではないのだろうか。そういう山村さんの次の作品に期待したい。
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