Vol.5〜第一部手塚治虫とマンガ〜第一章マンガ大国ニッポン
3 各国のコミック事情
ここで各国の個別のコミックス状況についてもう少し立ち入って見てみたい。
〈フランス〉
フランスでコミックはバンド・デシネ(bande dessinée)と呼ばれており、エルジェの『タンタン』シリーズのように全世界で3億冊近く売れたものもあるが基本的にはマイナーな存在である。ところが、そのフランスにおいて、近年急速にコミックマーケットが広がってきた。その裏には日本のマンガの進出があると言われており、それもあってか2006年にはコミックスの出版点数が総出版点数の7.5%を占めるようになっている。
フランスで日本のマンガを取り扱う会社は20社余りで、毎月100タイトルものマンガが出版されている。ABCD(フランスマンガ批評協会)によると2005年にフランスで出版されたマンガのタイトル数は1,142点で、前年の754タイトルから150%アップとなっている。また、一タイトル当たりの初版部数も増加しており、2005年から出版されている『NARUTO』の最新刊は初版11万部と、全巻の6万部から183%もアップしている。
このような状況に後押しされてか、2008年7月3日から6日までパリ郊外で開催された「ジャパンエキスポ」には日本のアニメやマンガ、ゲーム愛好者が4日間で12万人も集まった。フランスにおけるマンガの評価はかつて浮世絵ブームを彷彿させるが、その意味で現在は21世紀の「ジャポニズム」の時代なのかも知れない。
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