第二部手塚治虫とアニメ
2−2海外を席巻するアニメパワー
『ジャングル大帝』と『ライオン・キング』
日米のアニメの関係で忘れられないのが1994年に公開の『ライオン・キング』である。『ライオン・キング』の場合、単に『ジャングル大帝』の影響というより、設定から世界観、キャラクターからストーリーまで「そのまま」であった。
もちろん、『ライオン・キング』の製作者達はそのようなことは認めておらず、自分たちはシェイクスピアのハムレット、聖書のヨセフとモーゼの物語、ディズニーアニメ『バンビ』(1942年)に触発されたと語っているが、『ジャングル大帝』を一度見た人間ならその影響は否定できないであろう。
『ジャングル大帝』はアトム同様1960年代にシンジュケーションネットワークで全米オンエアーされており、その当時製作者やクリエーターが見ていた可能性は非常に大きい(特にアニメ好きの子どもならほぼ間違いなく見ていたはずである)。
もし、『ジャングル大帝』がアメリカの作品であったら大変な訴訟問題になっていたであろうが(もっとも、もしそうであったらディズニーも手を出さなかったとは思うが)、手塚治虫がディズニーから大きな影響を受けたことを認識している手塚プロダクションが協調的姿勢を取ったため問題には至らなかった(おそらく事前の調査で勝算ありと踏んでいたのであろう)。
ところが、ある国では日本のアニメの影響が強すぎる余り社会的な問題を引き起こすほどの事件になったケースもあった。
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