『オタク成金』(アフターヌーン新書/あかほりさとる 天野由貴819円)
オタク版『成り上がり』
どこかで同じ内容の本を読んだことがあるなと思っていたら、そうだ矢沢永吉の『成り上がり』ではないか。永ちゃんの語り口が面白く一気に読んでしまったが、この本も同種の爽快感はある。まあ、その種の上昇志向を嫌いな方にはお勧めしないがラノベ、アニメなどの情報的にも結構価値があるので一読してみてはどうか。なにせ読みやすいことでもあるし。
アフターヌーンが新書シリーズを創刊、本書はその四冊目である。『がっかり力』(本田透)、『ヤリチン専門学校』(尾谷幸憲)、『なぜ、腐女子は男尊女卑なのか?』、『僕殺プレミアム』(ヨシナガ)、『ジオン軍の失敗』(岡嶋裕史)が既刊で、今後『漫画描き方入門じゃありません(仮)』(藤島康介)、『自分でやってみた男(仮)』(堀田純司)が出る予定。まあ立ち読みでイケそうなものもあるがそれなりにお世話になるやも知れぬ予感はある。
ある種の潔さを感じる本であるが、前述したように情報的にもなかなか興味深い。ラノベ発展やメディアミックスが増えた経緯などなるほどと思う点がたくさんあった。もちろん、オタク市場についての洞察も鋭い。
これは以前から思っていたことであるが、あかほり氏も指摘するように絵が描けないのなら文字を書いてはどうか。ラノベでも良いし脚本でもいい。日本のアニメ原作を支え続けてきたマンガ業界が今いち元気がないなら活字で頑張るという手もある。
あかほり氏が優れている点のひとつに種客観的にものを見られるということがあるが、これはプロデューサー的資質が結構あるからだと思われる。要するにセルフプロデュースに長けているのである。きっとアニメなど映像プロデューサーとしても成功できるであろう。
ということで、(ビジネスモードに入って)あかほりさん、現在充電中ということですがまた面白い原作・脚本お願いしますね。弊社サイト(QTVビデオ)でも沢山の作品を配信させて頂いております。多分、お好みの赤ワイン、一滴分の原作ロイヤリティ位にはなっていれば望外の喜びであります。今後共に宜しくお願いします。
ひとつだけ、あかほりさんの語りとライターの地の文が交錯し主語ががわかりにくい部分があった。『成り上がり』のように統一するともっと面白くなったとのではないか。
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