中国オタクの可能性
『動漫新人類』を著した遠藤氏によると、1990年代半ばから若者の変化を肌で感じたそうである。1980年代以降に生まれた彼らは一人っ子政策の世代でもあるが、上の世代と違い中国という国や政治体制への思い入れが非常に淡泊で、時に『中国』という国を突き放して考えるような傾向を持っているとのこと。氏にとって彼らは「新人類」であるのだ。遠藤氏はその原因をあれこれ考えた結果、その原因のひとつにその世代の若者の多くが日本の動漫を見て育ったことにあると思い至りそこから動漫に対する調査をはじめたのである。
その過程で訪れた中国トップの精華大学では「次世代文化と娯楽協会」という日本の動漫を愛する学生が集うサークルがあり、そのメンバーは何と600人もいるそうである。このサークル、最初はプレステやドリキャスといった次世代ゲーム機(だから次世代文化だそうだ)の愛好会としてスタートしたが、現在では「漫画本の貸し出し、アニメ鑑賞会、ゲーム大会、創作を通した同人誌の発行」などを活動主旨としている。
先日「日中文化交流」と書いてオタ活動と読むというブログを立ち上げられている百元籠羊さんにお話しを伺ったところ(この方中国からの帰国子女です)、5月にその次世代文化と娯楽協会が精華大学で声優の成田剣と山口勝平を招いてイベントを行ったところ熱狂的な盛り上がりであったそうな。中国各地から駆け付けたチャイナ腐女子?が発する歓声でほとんど日本と変わらない状況であったとか。
驚くのは、精華大学のそのメンバーが揃って流暢な日本語をつかえるということである。日本の動漫がきっかけで日本語を外国語として選択したとのことだが、そのレベルは高く「ッつうか・・・」という日本の若者言葉もつかいこなせるほどであるそうだ。完璧にオタクの域に入っていると思われるが、日本に取っては非常に有り難い話である。
こういう世代が中国社会の主流となれば決して日本と事を構えるようなことはなくなるのではないか。ゲームでのバトルは大好きだろうが、実際に闘うのは大嫌いであろう。戦後GHQが行ったとされる3S政策(スクリーン、セックス、スポーツ)ではないがメイド、BL等そちらに精力を費やして貰いたいものである。
実際中国政府は日本の動漫(やハリウッド映画などの海外文化)が持つイメージパワー(影響力)をよく認識しているのではないだろうか(その点日本の政治家や官僚はこの種のパワーをほとんど理解できない。だから、全面的な輸入禁止状態もある種の怖れの表れではないかと思う。従って、日本の動漫を普及させる(と言っても勝手に普及してしまっているが)手段をあらゆる方面から検討すべきではないかと考えた次第である。
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