日本のアニメ企業の従業員5〜従業員の定義
今回の調査ではアニメ業界における「従業員」の捉え方が課題として浮かび上がった。アンケート回答の元請企業に従業員1名という会社があったのがいい例であるが、通常テレビシリーズの制作を丸ごと請負う元請企業が1人ですべての作業をこなしているとは考えにくい。そのため今回の回答した企業も、「従業員」の捉え方の認識がそれぞれで違う可能性が否めないため、あくまでも参考値と考えるしかない。
アニメ業界において、正社員となるのは通常、「管理」「営業」「版権」「制作」までが一般的であり、それ以降の工程に従事する「演出」「文芸(脚本等)」「原画」「動画」「美術」「仕上」「特効」「撮影」「CG」「編集」は、契約社員・委託・単価による出来高制が入り組んでいるものと考えられる。
いわば鉛筆一本で仕事ができる作画職(演出や文芸なども設備を必要としない)は、必ずしも正社員だけが望ましい身分であるとは考えられていない(フリーランス志向が高い)と捉えることもでき、アニメ業界の流動性の高さが従業員の定義を難しくしている側面がみられた。
ただ、美術系企業には新入社員を含め全員が正社員という会社が結構あった。それは、緊密なコミュニケーションが不可欠であり、アニメーターの様に一人で自宅作業をするのが難しいというところから来ているようだ。また、CG制作会社は守秘義務上の問題などで社員にせざるを得ない事情があるとも聞いた。また、撮影系企業も社員採用が多かった。
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