人材育成の実態調査5〜社内新人研修システム
制作・作画系企業110社中、回答社は95社(83.36%)、そのうち「ある」と答えたのが56社(58.95%)、「ない(すぐにOJT)」と答えたのが39社(38.89%)であった(「その他」は3社(3.16%))。これにより6割近い会社が何らかの形での研修システムを持っていることが判明した。
美術系回答社は27社(96.43%)であった。27社中研修システムを持っていると答えたのは81.48%の22社で、制作・作画系よりも新人研修に取り組む企業が多いということがわかった。
以上の結果を踏まると、日本のアニメ企業では新人教育をしっかりと行っていると言えるのではないか。この辺りが、1974年のオイルショック以来、スタジオが人材育成(演出等の採用停止)を行わなくなった映画界との差を生んでいるのかも知れない。
小津安二郎や黒澤明などはスタジオが育てた人材であるが、オイルショック以降、映画業界に「巨匠」が生まれていない。一方、アニメ業界では人材を採用し続け教育も行って来た。その結果、巨匠と呼ばれる人材が生まれている。この事実を考えると、やはりスタジオが持つ人材育成の役割は大きいのではないだろうか。
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