調査を終えて
アトリエムサを以て調査を終えた。本当はこの他に2社ほどインタビューしたのであるが、掲載の了解を得ることが出来なかった。また、人材育成が進んでいるという話をしばしば耳にした京都アニメーショやPAワークスなど東京以外の会社にも行きたかったのであるが、力及ばず残念であった。
さて、アニメ業界における人材育成であるが、巷で言われているより余程しっかり取り組んでいるように思えた。映画業界などと比べると育成の拠点となるスタジオがまだまだしっかりしているからであろう。
日本映画の黄金時代は戦前から1950年代頃までであろうが、その当時は東宝、松竹、東映、日活、大映、あるいは独立プロといった存在が人材育成の場として十分機能していた。映画創生期は別として、その頃まで育った映画監督はほぼ例外なくスタジオで学んでいる。
ところが、1960年代からテレビに押され次第に斜陽化して行く中で、現場人材の採用がどんどん少なくなっていく。そして、それが決定的になったのがオイルショックであろう。この時以来、映画産業は自分たちの手による人材育成を放棄してしまった。
1970年代に入ってもロマンポルノを抱えていた日活だけが唯一育成の現場を機能させていたが、もちろん、それだけでは全部を抱えきれない。だから映画を目指した人間にはフリーの進行・助監督か自主映画の道しか残されていなかったのである。
そうした映画界に比べアニメの世界では東映動画以来、ずっとスタジオが機能して来たと言える。今でもアニメの現場を目指す人間は何らかの形でスタジオに所属する。一人でアニメをつくれるデジタル・クリエーターが増えてはいるが、やはり基本はスタジオである。このアニメ産業における人材育成に関しては現在検証中でいずれどこかで発表したいと考えている。
ということで、人材育成の巻、ここで終わります。
いつも参考にしております。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
投稿情報: 履歴書の添え状 | 2010/08/15 19:51