第四章&五章「激動の10年 テレビアニメ篇 劇場アニメ篇」3
アニメビジネスの中心に存在するもの3
劇場アニメの可能性
前回劇場アニメを巡って、アメリカと日本の比較をしたが、それを見ても日本がTVアニメの国であるのは一目瞭然であろう。もちろん、日本でも多くの劇場アニメを制作しているが、TVシリーズの延長としての劇場作品やOVAレベルのものではなく、本格的なオリジナル「映画」(オリジナル企画という意味で、必ずしもオリジナル原作という意味ではない)をつくれるのは、ジブリの他にはマッドハウス、プロダクションIGなど僅かである。
マッドハウスにいて感じたのは、ここは映画を指向する会社であるということである。世代的にもそうなのかも知れないが志は常にそこにあると感じた(ただし、日テレ系列になり、創業者の丸山さんが離れた現在のマッドにその志向性は薄くなったと思われるが。とは言え、細田作品が控えているはずなので「マッド映画」に期待したい)。
それに対し、若い世代はTVアニメも劇場アニメも差異を見出していないようである。要するに「アニメ」というメディアなのであろう(「アニメディア」?)。
ということで、日本のアニメビジネスの中心にいるのはTVアニメであり、更に言えばキッズ・ファミリー作品である。その検証を『もっとわかるアニメビジネス』で行ったのであるが、昨今のビジネス環境を考えても、劇場アニメの可能性が生まれつつあるのではないかと思う。そして、それは劇場アニメの公開本数にハッキリ現れている。
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