タイ王国がコンテンツに力を入れはじめたのはある種象徴的な出来事かも知れない。というのはサブタイトルにもある「中国から東南アジアへ」ということである。この流れはかなり明確になって来た。
中国が目覚ましい経済的興隆を遂げた数年前から日本のアニメ業界もその市場に対して意欲を持つようになった。何とか協業できないかと色々な試みが為されたが、どうもうまく行かない。やがて、それは中国政府の政策が原因であることを次第に悟るようになるが(事実上の輸入禁止)、その経済成長に目を奪われなかなかあきらめきれなかった。
しかし、あの中国「漁船」が体当たりを食らわせた尖閣諸島問題とそれに伴う反日デモの暴挙を見るに至り、遂に結論が出てしまった。「中国とはビジネスパートナー」にはなれない。もちろん、今でも中国で放映や公開されている日本のアニメはあり(2006年以前に紹介されたもの)、今後どのような展開になるのかは分からないが、取り敢えず現時点での結論は出てしまった(と言うか中国から一方的に出されてしまったといった方がいいかも知れない)。中国政府の方針が変わらない限りアウトソーシング的作業はともかく、共同製作は難しいであろう。
と言うことで、アニメ業界の目は俄然東南アジアに注がれることになった。シンガポールからマレーシア、インドネシア、タイを経てインドへと至る道である。実際、これらの国々へシフトしはじめてアッという間に実績が出はじめた。数年間で中国とは3作程度しか共作できなかったのにもかかわらず、これらの国とは2012年だけで『あらしのよるに』『スーラジライジングスター』『忍者ハットリくん』における協業がなされた。
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