アニメビジネスがわかる本252『結局、日本のアニメ、マンガは儲かっているのか？』その５〜「クールジャパン」というネーミングにに惑わされて

（2013年4月/板越ジョージ/ディスカヴァー携書1,050円）

 しかしながら、海外も日本同様ファン向けアニメが売れているかの如き誤解が生じているのかと言えば、おそらく「クールジャパン」という命名にも原因があるように思える。クールジャパンのアニメ=クールアニメという連想を生み出してしまうようだが。確かに、それらのアニメ作品は人気はあるものの、ほとんど収益にはなっていないのが実情なのである。実際海外で人気があってかつ収益が伴っているものは前回述べた様にキッズアニメなのだ（全日帯にオンエアーされているもの）。

 クール系・萌え系アニメはネットを通じて視聴されており（もちろん、海賊版もあるだろうが）、人気はあるのは確かであるがビジネスにはなっていない。劇場アニメはほとんど公開されず（かのジブリであっても海外での公開規模はマイナーであるが）、テレビアニメにおいては放送枠がない（基本的に海外ではアニメは子どものもの。深夜枠など存在しない）。

 それを数年前まではパッケージが補っていたのであるが、その市場も崩壊。もちろん、マーチャンビジネスはもとより対象外。ということで、ファン向けアニメは海外では八方塞がりの状況なのである。要するに人気があるのにマネタイズ出来ないという忸怩たる状況にあるということなのである。

（次回に続く）