(2013年11月/宮崎駿/文春ジブリ文庫/税別650円)
本書は1990年〜2001まで『Cut』『SIGHT』紙上に掲載された渋谷陽一の宮崎監督インタビュー単行本(2002年ロッキング・オン刊行)の文庫版である。宮崎作品のナウシカから魔女の宅急便までが1回目のインタビューに入っており、以降は作品がリリースされた直後に行われたものである。
とにかく情報満載のインタビューである。当初雑誌ではカットされていた部分を全部復活させたそうなので、かなりのボリュームとなっている。インタビューなので、インタラクティブ性もあり、話があちこち飛ぶが、NHKなどのテレビ番組で耳にする語り口を彷彿させて飽きない。
宮崎監督は映画や文学のみならず、様々な分野における見識があり、『風立ちぬ』で見せた教養の片鱗をうかがわせるものがある。高畑勲と並んでアニメクリエーターとしては飛び抜けたアカデミックレベルであると思う。
同時に思い込みの激しい人であることは、その語り口から察することが出来る(まあ公知のことであろうが)。多分、話ながら興奮している様子も伝わってくる。何とも人間くさい側面も垣間見える本書を手にしてみてはどうか。
次回は『続・風の帰る場所』。
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