製作費もビジネスモデルも異なるアニメ
世界的にアニメは子どものものとされる中にあって日本は特殊である。これはマンガからの流れであろうが子ども向きと大人向きのアニメが並立している。『アニメビジネスがわかる』ではそれを「キッズ・ファミリータイプ」「青年層タイプ」という表現をつかったが、要はプライムタイムや土日の午前中に放映されるアニメと深夜に放映されるアニメの違いである。これらのアニメは製作費もビジネスモデルも違っている。
もともとアニメビジネスは、ディズニーが確立したキャラクタービジネスメインの収益構造を基本としている。映画興業やテレビへの番販も大きな柱ではあるが、玩具や食品などのマーチャンダイジング(商品化権)によるロイヤリティ収入がメインである。この場合、対象は子どもやその両親となるため「キッズ・ファミリータイプ」ということになる。
ところが、このタイプのアニメビジネスに参入するには多額の資金を必要とする。何故ならキャラクター認知をはかるためには高価なゴールデンタイム枠での長期間に渡る放映が不可欠であるからだ。ところが、それだけコストをかけても、番組がヒットする保証はない。つまり、ハイリスク・ハイリターン。
そこに登場したのが映像そのものを商品とする「青年層タイプ」のアニメである。これは『宇宙戦艦ヤマト』の爆発的ヒットによって顕在化した大人のアニメファン層である。世界的にアニメは子どもが見るものとされていたが、それ以来日本では大人もアニメを見るようになった。これも子ども向けから劇画へと発展していったマンガの影響が大きい。
この「青年層タイプ」のアニメが1980年代以降普及したビデオと相まってビジネスモデルに画期的な変化を与えた。購買力のある青年層以上のアニメファンが収益率の高いビデオ・LDを買うようになり、数万人単位対象のビジネスが成立するようになったためである。
そのため、ビデオメーカーを中心とした新規プレーヤーの参入を招き、結果的にアニメ製作にはずみをつけたのである。こうして1980年代から「キッズ・ファミリータイプ」「青年層タイプ」のアニメが併存するようになったのである。
その当時の想い出として強烈に印象に残っているのが、あの伝説的な「うる星やつらLD50枚セット」にまつわる想い出である。
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