日本のアニメの付加価値を出す6〜アニメの収益4付加価値算定
最後にアニメ業界(製作者)、アニメ産業(流通も含む広義のアニメ業界)を出してみたい。
まずアニメ業界(製作者)の付加価値(儲け)であるが、これはアニメ製作者流通前売上1,079億からアニメ製作費530億を引くことで算定できる。計算すると約550億になる。
一方、アニメの流通付加価値はアニメ産業全体売上1兆6400億からアニメ製作者売上1,079億を引くことで算定できる。約1兆5300億となる。
これらの数字を見て日本のアニメビジネスに対して言えることは、
1. アニメ業界(製作者)の売上規模が小さい。業界全体でも大手出版社、大手レコード会社1社の売上に満たない
2. 流通付加価値が非常に高い
以上であるが、この事実を考えるとアニメ業界(製作者)が進む道は二つしかないように思える。ひとつはアニメ業界が流通事業等に進出してゆくこと。GDHなどはこの道を歩もうとする意志が見て取れる。またマックガーデンを傘下に収めたプロダクションIGも製作者としての成長を意識している。世界的に見てこのパターンで成長した企業は何といってもディズニーであろう。アニメスタジオがテレビ局を買収するなど日本では考えられない(かつてディズニー・ランドを建設する時に多額の融資を受けたABCを買収)。ただし、このパターンはディズニーだけである。
二つ目はアニメ流通事業者の傘下に入るということ。企業規模などからしてこのパターンが優勢であろう。1960年代に『原始家族フリントストーン』『宇宙家族ジェットソン』などで一世を風靡したハンナ・バーベラ・プロダクション(1957年設立)もシンシナティのメディア・グループであったタフト・コミュニケーションズに買収されたのを皮切りに、グレート・アメリカン・コミュニケーションズ→ターナー・ブロードキャスティング→ワーナー・ブラザースと変遷する。
ディズニーはアニメからメジャースタジオの仲間入りをした唯一の例であるが現在では幅広い事業を手がけている。日本のアニメ製作者がアニメ事業に留まろうとする限り自ずからその規模は限定される。今後は日本においてもアニメが映像事業の一環として位置づける視点が生まれるであろう。
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