アニメ右肩上がりの要因3〜ファイナンスシステムの多様化による牽引効果
ファイナンスシステムの多様化②〜製作委員会によるファイナンス①
製作委員会の発生
長年自己資金を原則としてきたファイナンス・システムに、製作委員会方式という手法が加わったのは1990年代半ばであるが、この方式自体は特に目新しいものではない。1970年代、特にオイル・ショック以降、映画会社が次第に自社製作の本数を減らすのと反比例して、志のある製作会社がつくる作品が増加した。
その時、自社では製作費を全額まかない切れない製作元が、他の企業に声をかけて資金を調達するようなケースが数多く見られるようになったのである。筆者が在籍したキティ・レコードでも1970年代後半から他社の出資を仰ぐことが多かった。千万単位でアルバムを製作しているレコード会社にとって、億単位の製作費となる映画は資金調達のハードルがいかにも高く思えた記憶がある。
このように映画の世界では1980年代から実質的な製作委員会方式が誕生していた。劇場アニメの世界でも『風の谷ナウシカ』を製作した徳間書店が博報堂の出資を得ている。こうして見ると、製作委員会方式はその初期において、映像業界以外の企業が製作に参加する場合に取られた方式であるとも言えそうだ。ただし、テレビアニメにおいては相変わらず①のスタイルが主流であった。
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