アニメ右肩上がりの要因5〜デジタル技術がもたらした生産性向上による牽引効果
生産性向上による牽引効果⑥〜日米デジタルに対する考え方の違い
日本のアニメ製作におけるデジタル技術の受容を考えると、以前も述べたがつくづくアメリカとの差を感じざるを得ない。
日本におけるデジタルの受容は制作工程のデジタル化であり、作業を合理化するためのツールとして存在した。一方、アメリカでは新しい映像をつくるための創造的ツールとしてあった。デジタル技術に今まで見たことのない映像づくりの可能性を見た。それが現在ピクサーを筆頭とする3DCGアニメとして結実した。
なぜ日米にこれほどのデジタル技術に対する考え方の違いが生まれたのであろうか。それは日米の2Dアニメ発達史の違いそのままであるように思える。このあたりの事情については話し出すと長くなるので、時期を変えてまた述べてみたいと思っている。
思うに、もしウォルト・ディズニーが生きていたなら真っ先に3Dアニメを取り組んでいたのではないだろうか。ディズニーはトーキーやカラー、長編アニメと常に技術の最先端を追い求めただけではなく、実写映画やアミューズメント・パークまで挑戦した。好奇心旺盛、フロンティア・スピリットの塊である。そんなウォルト・ディズニーが3Dアニメに挑戦しないわけがない。
ウォルト・ディズニーの死後、不振に陥っていた会社を救ったのは中興の祖、マイケル・アイズナー(映画とアニメについては&ジェフリー・カッツンバーグ)である。しかし、現在の3Dアニメの活況を考えると、ピクサーもウォルト・ディズニーの遺伝子を確実受け継いだアメリカン・アニメの中興の祖と言えるであろう。
先日、アメリカのフロンティア・スピリットの粋である3Dアニメ『ベオウルフ』を見てきた。内容は好きずきであろうが、アニメという観点からすると見所満載の作品である。明日からアニメ関連メディア情報として連続で書いてみたいと思う。
尚、もしこの映画に興味があるなら、是非3-D立体映像で上映している劇場で見ることをお勧めする。私は新宿のバルト9で観たが、ワーナーマイカル系で結構上映している
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