アニメ右肩上がりの要因5〜デジタル技術がもたらした生産性向上による牽引効果
生産性向上による牽引効果⑤〜ようやく結実した制作工程のデジタル化
IBMとのプロジェクトが終息した東映動画(東映アニメーション)であるが、その後パートナーとなったのは富士通であった。共同開発したCATAS(キャタス、Computer Aided Toei Animation System)というシステムは稼働可能なレベルに到達したが、これも初期費用の8億円がネックになってやはり導入は見送られた。
常にコスト的な問題によって導入を妨げられてきた制作工程のデジタル化であるが、ようやく道が開けたのは1990年代も半ばになってのことであった。その任を担ったのはIBMでも富士通でもなく、1991年創業のセルシスであった。
デジタル化プロジェクトを正式に立ち上げてから20年後の1996年、東映動画は初期費用1億5千万をかけて、アニメ制作ツールの標準となるセルシスの「RETAS!Pro」を導入した。彩色以降の作業工程をデジタル化することで20%の経費削減に成功、それを見て続々と他社もデジタル化に踏み切った。
慢性人材不足という問題を抱えるアニメの制作現場が、1990年代後半からはじまるアニメ製作の急増を受け止められたのも、このような制作工程のデジタル化による生産性の向上があったからである
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