アニメ右肩上がりの要因4〜収益構造の多様化による牽引効果
収益構造の多様化③〜『三匹の子ぶた』と音楽
興行と商品化の次に発生したのは音楽による収益であろう。トーキー映画が一般的になった1933年、ディズニーはシリー・シンフォニーシリーズのひとつとして『三匹の子ぶた』を製作した。この中で唄われていたのが、かの有名な『狼なんてこわくない』であった。この歌は大恐慌に苦しむ民衆を力づける曲として大ヒットを記録し、第二の国歌とも呼ばれたほどであった。
当時、まだ「サントラ盤」というものはなく、早速多くのミュージシャンがカバーすることで巷にはこの曲が溢れた。中でもシカゴのドン・ベスター楽団が3人の歌手と共に吹き込んだRCA Victor版は全米チャートの2位にランク・イン。ディズニーの元には楽譜印刷の許可を求める出版社が殺到したのである。
とはいうものの、現在のように音楽出版ビジネスも盛んでなかったため、音楽が収益に寄与したのは意外と少なかったと思われるが、興行収入と商品海外の収益源が生まれたのは確かである。音楽の収益がアニメと直接結びつくようになったのは、『三匹の子ぶた』から5年後に『白雪姫』でサントラが発売されるようになってからであろう。
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