『ドラゴンボール』実写化④〜著作人格権がない国の原作感覚
この映画の設定やストーリーに関して、今まで伝えられた情報などを見てもかなりの原作改訂が予測される。おそらく議論百出するのではないか。ハリウッドでは時として原作と似てもにつかない映画が生まれるが、それは原作に対する根本的な考え方の違いよるものである。
日本的な考え方であれば、原作やアニメのティストを活かす方向に進むのが常道である。しかし、アメリカの場合、しばしば大胆なアレンジ、いやほとんどオリジナルといっていいほど変更を加える場合がある。その理由は日本と違って著作人格権がないため(一部保護される著作物はあるが非常に範囲が狭い)、日本の「同一性保持権」(著作権者の了承なしには原作を勝手に改変できない)にあるような、原作遵守という発想が希薄なためである(もちろん、製作者の意図として原作通りやる場合はある)。
日本では「同一性保持権」は非常に大きな力を持つ。原作者にとってこの権利は「伝家の宝刀」で、これを行使すると製作者は作品がつくれなくなる。また、古い作品をDVD化しようとしたところ、「同一性保持権」を持っている原作者や監督が嫌だと言ったため商品化できないケースも実際あった。かように日本においては原作者の力は強い。
原作者の意向を徹底的に尊重する、強い著作人格権の世界でどっぷり育ってきた私には、正直アメリカの考え方は感覚的につかめない。おそらく現状の日本の著作権制度のもとで育ったビジネスマンには、今回のドラゴンボールのような大胆な改編(予測の段階ではあるが)の発想は出て来ないはずである。多分、同一性保持権にとらわれないアメリカ的な発想は、同じく同一性保持権から自由であり、原作を大胆に改編することに躊躇しない同人誌系の人々に近いものがあるかも知れない。
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