『ドラゴンボール』実写化⑥〜創作は天才が行うもの?
著作権の前提としてあるのが、「著作物は少数の天意的な著作者によって製作される希少な商品あり、多数のユーザーはこれを消費するだけである」(名和小太郎『情報の私有・共有・公有』)というものだ。しかし、現代ではデジタル化社会の到来でそれが崩れつつある。誰もが創作者になれる時代が訪れたのだ。
浅羽克美という日本で有数なグラフイック・デザイナーがおられるが、かつてデザイナーは如何に極細の線を(確か等間隔で密に)描けるかを競い合ったとエッセイで述べていたのを見かけたことがある。既製のペンでは太すぎるので、自分で木を削って(確か割り箸であったような気がするが、何れにせよその種の素材であったと記憶している)細くしていたそうだ。
ところが、コンピューターの時代になって誰でも極細の線がきれいに「描ける」ようになった。AdobeのIllustratorをつかいこなせればにわかイラストレーターとなれる。After Effectsがあればアニメ制作もできる。このような、誰でも創作に参加できる例を我々は既に音楽の世界で見てきた。
そんな流れを受け、アニメ業界主導の元で開催されたのがJAM2007(Japan Animation Contents Meeting2007/日本動画協会主催・経産省後援)であった。準備期間がほとんどなかったため知る人は少ないが、これはアトムやエヴァンゲリオンなどの作品を自由に改変してもよいという二次著作物創造のためのオープン・マーケットであった。
「アニメは見るだけのものじゃない」というキャッチの元に、新しいストーリーを創作、登場キャラクターをスピン・オフさせて新しい世界をつくる、あるいはキャラクター・グッズのアイデアの提案を潜在的クリエーターに呼びかける、ライセンシーお墨付きのイベントであり、その代表作がラルコ氏の『やわらかアトム』であった。
また、web上で手塚治虫作品を自由に二次著作化や商品化アイデアの提案できる「Open Post」というサイトも誕生した。手塚プロが主宰し、アトムやブラック・ジャック、レオといったおなじみのキャラクターを素材とした作品が寄せられている。共に前向きな取組であるが、如何せんPR不足のためか知る人が少ない(あるいは何かしらインセンティブに欠けているのか?)。
JAM2007
http://www.jam-anime.jp/
Open Post
http://openpost.jp/
一言一句たりとも改変相成らぬという著作権者もいるであろうが、ライセンスを解放することで浦沢尚樹氏の『PLUTO』のように素晴らしい作品が生まれることもある(蛇足であるが、もう少し刊行ペースを上げられないものであろうか。新刊と思って買ったら家に同じ巻があった・・・)。JAMやOpen Postのような活動はまだ端緒についたばかりであるが、今後増えて行くものと思われる。
I am forever indebted to you for this ifnormatoin.
投稿情報: Patricia | 2013/01/04 13:21