『ドラゴンボール』実写化⑩〜日本発キャラクター「5 T-Rex」
原作改編に関する私的な蛇足エピソードをもうひとつ。
今から十数年前の話になるが、発表前の日本のオリジナル・キャラクターがいきなりアメリカで認められ、アニメ化されるという出来事があった。ポケモンよりずいぶん前に、全米のシンジュケーション・ネットワークでオンエアーされたその作品のタイトルは「The Adventure of 5 T-Rex」といい、その作品のアシスタント・プロデューサーを務めていたのである。
「The Adventure of 5 T-Rex」の作者は「なめねこ」などをプロデュースした津田悟氏である。この全くのオリジナル恐竜キャラクターは(まだ恐竜ブームが訪れる前であった)、1920年代のニューヨークを彷彿させる街で、擬人化された五人(匹)のディノザウルスの兄弟が活躍するという設定であった。なめねこからは想像もつかないそのスマートなセンスに当時在籍していた会社が惹かれ、津田氏からキャラクター権を取得したのであるが、その余りにソフィススケイトされた世界観からか、最初から目標はアメリカ展開であった。
とは言え、その頃はまだ日本のキャラクターがアメリカに進出するなど、夢のまた夢のような時代である(既に日本のアニメはアジア、ヨーロッパに大量に出はじめていたが、アメリカはまだ未知の領域であった)。まして、無名のオリジナル・キャラクターである。
ところが、色々なルートを通じてコンタクトを取るや否や、驚くべきことにすぐにアメリカ人のプロデューサーがアニメ化を申し入れてきたのである。素晴らしいキャラクターであるとは思ったが、こんなにすぐにアプローチがあるとは正直思わなかった。日本サイドが舞い上がったのも無理はない。
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