『ドラゴンボール』実写化⑭〜原作以上の作品に仕上げるのは難しい
アメリカ向けに日本のアニメがローカライズされる中で、一番大きいのはおそらくセンサーシップ(放映基準)の問題かも知れない。アニメ関連メディア情報23で書いたがアメリカは実に厳しい。おそらく、子ども向けに関してアメリカの基準に適合する日本のアニメはほとんどないであろう。
2004年版のアトムは、おそらくアメリカでのオンエアーを多分に意識してのことであろうが、妙にアメリカナイズされたものを感じた。クレジットを見ると、どうやら最初からアメリカソニーピクチャーズのスーパー・バイザーがついて、向こうでのオンエアーのためのセンサークリアー監修を加えたようだ。
そのためか、日本のアニメとして見ると食い足りないような違和感があった(カラーリングからして日本では余り使われない配色であったように感じた。これは裏を取っているわけではなく、私のセンスなので当たっているかどうかわからないが)。アメリカのセンサーシップを意識する余りのことであろうか。日本のキッズ・ファミリー向けアニメでも、改訂を加えずアメリカのネットワークでのオンエアー基準を一発でクリアーできるものはほとんどないであろうが、そこまたが日本のアニメの面白さの秘訣でもあるのだ。
どこまで相手の意見を聞くかは非常に難しい問題である。結果論でしかないが、原則日本のマンガ・アニメを実写化する場合は、設定やストーリーについてはそのティストを残した方がいいはずである。実際、原作以上の翻案をするには相当な才能と業(わざ)が必要である。オウチャウスキーにはそれができるであろうが、ドラゴンボールに関して言えば限りなく不透明である。
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