『ドラゴンボール』実写化と原作⑰〜君は原作を読まなくてよろしい
ハリウッドのプロデューサーは原作をそのまま再現するのではなく、自分なりのアレンジを加え原作以上のものにしようという傾向が強い。その代表の一人が前回紹介した『メリー・ポピンズ』でのウォルト・ディズニーであろう。彼はしばしば原作を翻案化する際に脚本家に驚くべきことを言っていた。
彼が脚本家に向かってしばしば発していたのは、原作は読まなくてもいいという言葉であり、「まず最初にして欲しいことは原作を読むな」と言ったことさえある。何という乱暴な。アチャコならずとも、「ムチャクチャでござりまするがな」と突っこみたくなるところだ。日本ならまず原作を最初にしっかり読み込むようにと言われるのが相場である。
ディズニーのようなやり方は、原作サイドから見れば噴飯ものかも知れないが、それはそれで映像制作におけるプロデューサーの見識を示すものである。名作の誉れ高い原作を忠実に映像化したからといって、必ずしも傑作が出来るとは限らない。程度の差はあろうが映像化にはそれなりのアダプテーションは必要であり、ウォルト・ディズニーの場合は原作以上のものをつくりあげる気概と確信があったからこそ、大胆な改編が可能だったのであろう。
もし、実写版ドラゴンボールにプロデューサーのそのような気概があれば、それはそれである種の希望を持てる。だが、発表されている設定やシューティングスケジュールなどを見ると、果たしてそこまでやる気があるのかという疑問を持たざるを得ない。いずれにせよ、大幅な改編は現実のようであるから、それが吉と出るか凶と出るかは半年後のお楽しみである。
どんなによくできていても”凶”でしょうね
投稿情報: 1 | 2008/02/10 09:34