ネット上のファイル交換違法化の動き①〜突然の逮捕
本日から最近話題になりつつあるネット上でのP2Pによる音楽、映像のファイル交換が近い将来違法化となり、今まで無縁と思っていた「逮捕・拘留」が現実的になってきたこと、またそれを巡っての著作権動向について述べてみたい。
2007年度キネマ旬報邦画ベストテンのトップは周防正行監督の『それでもボクはやってない』であった。実はこの作品、私が昨年一番感動、いや衝撃を受けた作品であった。
驚いたのは、司法とは正義を裁く場ではなく、右からやってくる案件を法律というマニュアルによって計量する場であったということだ。いや、それならまだいいが、その時々の情勢によって司法判断が変わったり、予断によって真実が封印されることもある。それは鹿児島や富山で起きた冤罪事件でも徐々に明らかになりつつある。
被害者がいないのに有罪となってしまった国際的に有名な地震学者がいる。その人間が書いた、『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』(島村英紀著/講談社文庫)や、「蛇足判決」を拒み罷免された元裁判官の『裁判所が道徳を破壊する』(井上薫/文春文庫)、『狂った裁判官』(井上薫/幻冬舎新書)、『司法は腐り人権滅ぶ』(井上薫/講談社現代新書)などを読むと司法に対するイメージが確実に変わる(これは司法のみならず、薬害エイズや薬害肝炎問題、年金問題、民営化問題などにも潜む構図なのかも知れない)。
『それでもボクはやってない』の場合は痴漢の容疑であるが、『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』を読んでも、実際逮捕、起訴という経緯において精神的にも肉体的にも著しい負担がかかる。とりわけ、身分の取扱が確定するまで拘置所で過ごす日々は地獄である。そして、もし起訴されるようなことがあれば、その先に待ち受けているのは有罪率99.9%という法廷審理である(海外の試写会でこの数字を聞いた観客から笑いが起きたと周防監督は述べている)。
なぜこのようなことを長々と書いたかというと、ネットでのファイル交換に関連し、逮捕者が増えることが予測されるからである。ある日突然著作権侵害で逮捕され、場合によっては長期拘留の上、刑事罰が下される可能性が出てきたからである。
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