『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情⑤〜『スラムダンク』を見てプロになった中国人バスケット選手
中国人で現在までNBA入りしたのはヒューストン・ロケッツの姚明(ヤオミン)をはじめとして今まで4名を数えるが、彼らの様な選手を輩出するようになった背景に1995年からスタートしたプロリーグの存在がある。それがCBA(Chinese Basketball Association)である。ここが登竜門となりNBAへの道が開かれた。
そんなCBAに所属するのが孟達(もう・たつ)選手である。彼が『スラムダンク』を見て本格的にバスケットを目指したこという記事に遠藤氏は興味を持ち取材を申し込んだ。そして、孟達選手が『スラムダンク』のファンであったことを確かめた。
孟達は実は子どもの頃サッカー選手になりたいと思っていたそうだ。しかし、中国ではそれほどサッカーが盛んではないので両親は卓球を勧めたが、本人がどうしても乗り気にならず、結局背が高いということでバスケットという妥協案に落ち着いた。
この時、「すでに9歳になっていた」とあるが、スポーツエリートの国である中国ではこの年齢からのスタートは遅すぎるらしい。そういうこともあって今ひとつバスケットの練習にも身が入らなかったが、『スラムダンク』を見てから俄然気合いが入り本格的に打ち込むようになった。
孟達は自分の部屋に、花道や流川、アカギなどの手描きのポスターをつくって貼っていたとのこと。市販のポスターがあったかどうかは知らないが、自分で描いた方が自分のものになると思ったそうだ。他に好きだったアニメは『NARUTO—ナルトー』『聖闘士星矢』『名探偵コナン』などなので、日本に生まれてたら身長195㎝のマンガ家かアニメーターが誕生していたかも知れない。
孟達の話を聞くにつれマンガやアニメが子どもに与える影響はつくづく大きいと思う。『スラムダンク』の終了は返す返すも残念であったが、かの井上雄彦氏のバスケットに対する情熱はまだ衰えていないようである。昨年「スラムダンク奨学金制度」を自ら立ち上げ、福岡第一高校でプレイしていた沖縄出身の並里選手に奨学金が与えられることになった。並里選手は今年からアメリカのサウスケント・スクールで英語を学びトップクラスの大学を目指すとのことである。
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